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クロバナアケボノスミレ

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 永年追いかけているすみれの一つに「クロバナアケボノスミレ」があります。
アケボノスミレは名前のように「曙色」のすみれです。淡いサーモンピンクの花色の大輪、丸弁の花を咲かせますが、とりわけ透明感のあるピンクの花を付ける大株のアケボノスミレに出会うと、そこだけ春を凝縮したような、大変はなやいだ空間を演出してくれます。
クロバナアケボノスミレは特に赤系〜紫系の濃色のアケボノスミレをいいます。はじめてこのすみれを知ったのは浜栄助著「原色日本のスミレ」ですが、濃紫のアケボノスミレに驚いたものです。その後、日本すみれ研究会・故、前会長の鈴木進氏宅で、紫花のこのすみれの採取品を見たことがあります



クロバナアケボノスミレ
自生地を聞き、翌年 訪ねましたが、確認することができませんでした。
その後、赤系〜くすんだあずき色のアケボノスミレを何度も見ていますが、紫系のアケボノスミレは一度として出会ったことはありません。
後に、浜栄助氏が編集された「写真集 日本のすみれ」においても濃紫色のアケボノスミレの写真は掲載されませんでした。

クロバナアケボノスミレは大変退色しやすい、と言うより大変変色しやすいすみれです。
開花2〜3日に最高の輝きを発し、その後一気に花色を変えていきます。なんともお粗末な色に・・。このクロバナアケボノスミレほど美醜を兼備えたすみれは他には見当たりません。
私はこのすみれを採取したことはありませんが、採取品がどれほど変色(退色)(紫化?)するのか見極めてみたいと思っています。


このすみれが一番輝くのは、春の陽が西に傾くころ。手のひらや耳を太陽にかざすと真っ赤に見えるように、クロバナアケボノスミレに斜めから夕日があたると、花弁に閉じ込められていた赤い色素が輝きはじめます。(特に赤系)
ほんの一瞬、山の斜面に点々と真っ赤な花を咲かせた様は、あでやかでもあり、妖艶でもあります。大株に出会った時はまさに息をのむ美しさです。
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