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   い の ち の 音  〜♪
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すみれの「音」を楽しむ 〜♪

私が所属している日本すみれ研究会の会員H氏と立ち話をしていると、大変興味のあることを話しはじめられました。
H氏がすみれの音を楽しんでいるというのです。
  すみれの音??!!!
  音を楽しむ・・・   すみれの音???

すみれを五感で楽しむ・・・
これまで
視覚はもちろんのこと、香りをたのしんで臭覚、すみれを食して味覚すみれの毛を触れて触覚 (いつか、すみれの毛の手触り(?)について書きます) というのは理解できますが、すみれを聴覚で楽しむとは・・・ これまで想像することすらありませんでした。

H氏の話では、採取したすみれの鞘をワイングラスに入れて、上部を紙(アート紙の薄い絵はがき)で蓋をしておくと、乾燥した鞘がすみれの種子を挟みつけ、弾き飛ばされたすみれの種子が紙の蓋にあたり、良い音がすると言うのです。

H氏の表現をかりれば、夜も更け入り、静まった頃にポンポンと紙の蓋にぶつかる音がし、3月にかざるひな祭りの五人囃子達が動き出して、深夜に鼓を奏でているような幻覚を感じさせてくれたというのです。
音楽を愛する
H氏は、その音を耳にした時「音を追及する」可能性を感じられたのでしょう。さらに、より楽しい音を取り出すために工夫されていました。

生命を次世代につなぐために植物の種子が飛散する仕組みは、植物によりいろいろな知恵がみられますが、すみれは種子が完熟すると (たぶん、鞘への水分の補給が断たれ) 乾燥することで3つに鞘がはじけ、さらに乾燥することで鞘が種子をはさみつけ、極限に達した時に種子を空中に弾き飛ばします。
極めて簡単なしくみですが、記録によると5m近く種子を飛ばす品種もあります。それだけのエネルギーを備えているすみれの生命力には敬服しますが、その生命のエネルギーを「音」として取り出してみようというH氏の発想にも敬服します。

私もすみれの種子を採取し、紙袋に入れてポケットにしまったことを忘れていると、 パシッ! パシッ! と種子の弾ける音にビックリさせられることがあります。一つの小さな種子でも、そのエネルギーの大きさに驚かされることがしばしばあります。すみれを栽培している人ならば、ほとんどの人が経験する「すみれの音」との出合いです。

永々と続く生命の流れ、その生命のエネルギーを「音」として取り出し、楽しんでいるH氏の発想には大変興味を覚え、ぜひ、所属しているすみれの会の会誌への寄稿をお願いしました。
H氏は会誌への寄稿までは時間があり、その後、よりクリアな音を取り出すためにいろいろ試行錯誤されたようです。
その結果H氏は金属ボールに盃をおき、その中にすみれの鞘をいくつか置き、弾く種子を逆さにし吊るしたブランデーグラスで受けるという装置(?)に辿りつきました。その音色を、
グラスハーモニカのスタッカート音のようと表現されています。
その音はグラスに当たる場所により音色が違うようで、また、すみれの品種による種子の大きさによっても音の良し悪しがあるそうです。
氏によればベニバナナンザンスミレ、スミレ-大輪、フイリフギレゲンジスミレなど大粒の種子は大きなよい音をだすそうで、ヒメスミレの小さな種子も負けずによい音を出すそうです。
もし、音階を記録できれば すみれが奏でるミクロの音楽も可能なのかもしれません。


周りに音のしなくなった深夜、酒を前にして生命のエネルギーが奏でる透明な音をたのしむ。
音楽を愛し、酒を愛するH氏ならではの贅沢で優雅な「すみれを楽しむ」静かなひと時です。






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