Violet Valley・
自生する
すみれ
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信州の小さな谷に迷いこんだのは2001年・春。
何種類ものすみれが咲き乱れる中に立ち尽くしてしまいました。 「こんなところがあるなんて・・・」すみれ人生二十数年にして始めての経験です。
数年前 人の手が入ったのか切り開かれ明るくなった林床に、すみれが生育するのに適した環境になったのか、土の中に永く眠っていたすみれの種子が一斉に芽吹き、爆発的にすみれの園をつくったように思います。
日本海側の山の斜面を黄色く染めるオオバキスミレ、牧場一面のニョイスミレなど数種類のすみれが咲き乱れる自生地はこれまで出会ったけれど、二十種近いすみれがわずかな空間に咲き乱れる光景は初めて目にしました。自然のサイクルの中で 多くのすみれの最盛期に幸運にもピンポイントで出くわしたのでしょう。
乾燥した尾根筋から水の流れる湿度の高い下部まで、それぞれの環境に応じてすみれ達が居場所をみつけて咲いています。
谷で見たすみれを紹介します。上から順に、谷の標高にあわせてレイアウトしました。
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マキノスミレ
乾燥した尾根筋から傾斜地に見られます。小さく可愛いピンク花ですが退色しやすい。個人的に好きなすみれです。
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アカフタチツボスミレ
葉脈に沿って赤味のある斑のはいるタチツボスミレで、尾根筋に多く見られました。
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オトメスミレ
花弁は白色だが距だけ紅紫色をしているタチツボスミレをオトメスミレといいます。尾根筋に数株の一群を見ました。
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ニオイタチツボスミレ
尾根筋から中下部まで見られ、全体に乾燥した環境に自生しています。名前どうり甘い香りがします。
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アケボノスミレ
数多く、大株も多く、谷の下部をのぞいてはなやかな雰囲気を演出しています。透明な大輪ピンク花が多い。
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ニオイタチツボスミレ
ピンク花のニオイタチツボスミレ。遠くから目立つピンク花。開花株は写真の株のみ。マルバタチツボスミレの可能性あり。
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アカネスミレ
谷の下部を除いて谷全体に見られます。花つきが良く、大株をよく見ます。岩場にロックガーデンを思わすような咲っぷりにはため息がでます。
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アケボノスミレ(濃色)
近くにクロバナアケボノスミレが自生するところがありますが、この谷にも少し紅紫色の濃色のアケボノスミレが見られます。
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マルバタチツボスミレ
タチツボスミレとニオイタチツボスミレの自然交雑種。両種が多く混生しているので、数多く、大株を見ます。
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シロバナタチツボスミレ
純白のタチツボスミレ。写真の株のみを見ました。
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ヒゴスミレ
谷の中部、乾燥した環境に少しだけ確認しました。
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キクバヒナスミレ
ヒナスミレとヒゴスミレの自然交雑種。残念ながら開花株は確認できませんでした。まわりに数株の葉っぱのみを見ました。
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エゾアオイスミレ
早咲きのエゾアオイスミレは他のすみれの開花期には開花株を確認できませんでした。谷の中部に多く、アオイスミレと混生しています。
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ゲンジスミレ
すみれの香りに「ん
ン
?!ニオイタチツボスミレ」と思い、振り向いてゲンジスミレを見つけました。写真の株は芳香があります。株数は少。
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タチツボスミレ
谷全体に見られます。尾根筋の乾燥した環境にアカフタチツボスミレが見られました
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マルバスミレ
谷の下部、水の流れる湿気の高いところに多く見られます。
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ヒナスミレ
春早く咲くヒナスミレは他のすみれの開花期にはほとんど咲き終わり、残り花を見るのみです。湿り気のある谷の下部に残り花を数輪見ました。
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イブキスミレ
谷の下部、湿気の多いところに見ます。個体数は少なく、早咲きのため残り花の株を数株見ただけです。優しい感じのするすみれです
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ニョイスミレ
谷の下部、水の流れる湿気の多いところに見られます。量的には少ないが、他のすみれが圧倒する中、小さな白い花が風に揺れる様にホッとします。
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小さな谷間に19種のすみれを見ました。人の手が入り、切り開かれて明るくなった環境に、爆発的にパイオニア植物としてすみれが花開いたと思われます。2〜3年ですみれもあまり見られなくなるでしょう。あと1〜2年、この谷を追っかけてみようと思っています。
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